FinTech入門
テクノロジーが推進する「ユーザー第一主義」の金融革命

未 読
FinTech入門
ジャンル
著者
辻庸介 瀧俊雄
出版社
定価
1,600円 (税抜)
出版日
2016年04月19日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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テクノロジーが推進する「ユーザー第一主義」の金融革命
著者
辻庸介 瀧俊雄
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定価
1,600円 (税抜)
出版日
2016年04月19日
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4.0
明瞭性
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革新性
4.0
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レビュー

インターネットの登場が、私たちの生活を激変させたことに今更異論はないだろう。私たちの生活はテクノロジーの発達にともなって、どんどん便利になっている。Amazonや楽天市場を使えば家にいながらにして世界中の商品にアクセスすることができるし、Google Mapがあれば紙の地図だって不要だ。スマートフォンをかざせば改札だって通り抜けられるし、好きなときに音楽や動画を楽しむことすらできる。

こうした流れの中、比較的変化の乏しかった金融業界にもテクノロジーによる革命の波がやってきた。それがFinTech(Finance+Technology)である。本書は、「FinTechとはそもそも何なのか」という基本的なところから、「どのようなサービスが今熱いのか」まで幅広くカバーしており、FinTechについて最初に読む一冊として申し分ない作りとなっている。また、FinTechと既存の金融機関の関係について、単純な二元論に陥ることなく、FinTechの可能性を広く見据えていることにも注目したい。

2015年以降、FinTechという言葉は、専門誌のみならず、一般的なメディアでも大きく取り上げられた。言葉としてのブームは一過性のものに終わるかもしれないが、テクノロジーの進歩は確実に金融業界を変え始めている。近い将来、財布はおろか、スマートフォンすら持ち歩かなくても、生体認証で支払いが可能になるかもしれない。どのような未来が私たちの前に待ち受けているのか、本書を片手にじっくりと考えてみたいところだ。

石渡翔

著者

辻 庸介(つじ ようすけ)
株式会社マネーフォワード代表取締役社長CEO。2001年、京都大学農学部卒業、2011年、ペンシルバニア大学ウォートン校MBA修了。ソニー株式会社、マネックス証券株式会社を経て、2012年、株式会社マネーフォワード設立。個人向けの自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」およびビジネス向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ(会計・確定申告・請求書・消込・給与・マイナンバー・経費)」サービスを提供。

瀧 俊雄(たき としお)
株式会社マネーフォワード取締役FinTech研究所長。2004年、慶応義塾大学経済学部卒業後、野村證券株式会社入社。野村資本市場研究所にて、家計行動、年金制度、金融機関ビジネスモデル等の研究に従事。2011年、スタンフォード大学MBA修了。2011年より野村ホールディングスCEOオフィスに所属。2012年10月より株式会社マネーフォワードに参加。2015年8月、マネーフォワードFinTech研究所長に就任。

本書の要点

  • 要点
    1
    FinTechは金融とテクノロジーを組み合わせた言葉である。両者の融合が進むことで金融業界の構造が変化し、次々と新たな金融サービスが生まれた。
  • 要点
    2
    日本政府も「持続的な経済成長」を実現するための施策として、FinTechの調査と整備に乗り出している。
  • 要点
    3
    FinTech企業のほとんどはスタートアップである。ユーザーに好まれるサービスを提供するためには、金融機関もスタートアップと手を組んでいくべきだ。

要約

【必読ポイント!】 FinTechについて知る

FinTechはなぜ注目され始めたのか
Nelson_A_Ishikawa/iStock/Thinkstock

FinTechとは金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語である。両者の融合が進むことにより、金融業界の構造は変化し、新たな金融サービスが次々と誕生した。具体的には、資産運用、会計、融資、決済、保険、不動産といった領域で、革新的なサービスが生まれている。また、それらを安全かつ確実に利用するためのインフラサービスも充実してきている。

とはいえ、FinTechの概念自体はそこまで目新しいものではない。そもそも、金融はテクノロジーの進化によってこれまでも発達してきた産業である。FinTechという概念が有名になったのは、2014年にFinTech企業と分類されるスタートアップが、全世界で120億ドルを調達したことがきっかけだった。この額はそれまでの3~5倍の規模に相当しており、既存の金融サービスがテクノロジーによって大きく変わるのではないかという印象を人々に植えつけた。

さらに、時代背景も後押しした。以前に比べ、技術の開発コストが下がっており、さらには開発したサービスを普及させるコストも下がっていた。また、ユーザーの目が肥えてきており、サービスに対する期待も高くなっていた。

サービス開発コストと普及のコスト低下、そしてユーザーの意識の変化は、様々な業界内の産業構造を変化させてきており、より便利でコストの低いサービスが次々と生み出されている。一方、金融業界はこれまで、その波にうまく乗ることができていなかった。これは金融業界が、「お金」という非常に大事なものを扱う規制産業であり、情報漏えいなどのミスが絶対に許されない業界であるためである。

しかも、金融商品やサービスの内容は目に見えるものでないことから、ユーザー目線で分かりにくいという事情もあった。分かりにくい商品は通常、ネット販売との相性が良くないため、どうしてもプロに直接相談することを人々は選びがちになる。

しかし、どの金融商品やサービスを選ぶかで、人生は大きく左右されるものである。手軽に金融サービスの比較検討ができるようになれば、ユーザーはより適したサービスを能動的に選ぶようになるはずであり、金融機関も従来のやり方だけでは、ユーザーの獲得が難しくなるだろう。

日本政府もFinTechを支援しはじめた
TAGSTOCK1/iStock/Thinkstock

FinTechを推進するべきだという声は、日本政府からも上がってきている。「投資の促進」および「新たな市場の創出」は、安倍政権が提言するアベノミクス「3本の矢」の第3の矢「持続的な経済成長」を実現するための重要な部分を占めている。これらの分野を促進するうえで、FinTechは大きく貢献できると考えられる。

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