破天荒フェニックス

オンデーズ再生物語
未読
破天荒フェニックス
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オンデーズ再生物語
未読
破天荒フェニックス
出版社
定価
1,760円(税込)
出版日
2018年09月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
5.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

結末がわかっていなかったら、「もう終わったな」と何度思ったことか。

本書『破天荒フェニックス』はオンデーズの社長である田中修治氏が、実際にオンデーズの事業再生中に起きたことをもとに書き上げた自叙伝風フィクションだ。中身はまさにタイトル通りである。とにかく破天荒っぷり、不死鳥っぷりが凄まじい。常人ならとっくに燃え尽きてしまうような場面に何度遭遇しても、そのたびに灰の中から再生し、ふたたび輝きを放つ。およそ常人とは言いがたいが、だからこそ「絶対に倒産する」と言われた企業を、見事再生させることができたのだろう。

本書にはじつにさまざまな人物が登場し、なかには主人公を陥れようとする者も現れる。そのたびに主人公は絶望的な気持ちになるが、それでも結局は人との出逢いに救われる。著者が数々の困難から無事「生還」を果たせたのも、人のつながりがあってこそだ。大志を抱けば同志が生まれる。一見すると向こう見ずな著者の行動力が、最終的には大きな実りをもたらした。数字だけを眺めていたら、けっしてなし得なかった偉業といえる。

挑戦することの難しさ、つらさ、厳しさ、そしてなによりもおもしろさを、これほど雄弁に語った本もなかなかない。単純に読んで楽しむもよし、学びを得ようとするもよし。読み終わる頃にはオンデーズのメガネを買いに行きたくなる、そんな一冊である。

著者

田中 修治 (たなか しゅうじ)
株式会社オンデーズ代表取締役社長。10代の頃から起業家として、企業再生案件を中心に事業を拡大。2008年に巨額の債務超過に陥り破綻していたメガネの製造販売を手がける小売チェーンの株式会社オンデーズに対して個人で70%の第三者割当増資を引き受け、同社の筆頭株主となり、同時に代表取締役社長に就任。2013年には同社初となる海外進出を果たし、オンデーズシンガポール法人(OWNDAYS SINGAPORE PTE LTD.)を設立。翌年、オンデーズ台湾法人(恩戴適股份有限公司)を設立。2018年10月現在、アイウェアブランド「OWNDAYS」11か国260店舗展開し、独自の経営手法により、事業拡大と成長を続け実業家として活躍している。【従業員数2000名/売上高170億(2018年10月現在)】

本書の要点

  • 要点
    1
    30歳という若さでオンデーズの社長になった田中だが、就任当初から数々の困難にぶつかる。幾度となく資金ショートの危機を迎え、そのたびに金策に奔走するのを余儀なくされた。
  • 要点
    2
    被災地でのボランティア経験を通じて、本当に大事なのは安さやデザインではなく、「メガネをかけて見える素晴らしい世界」そのものだと悟った。
  • 要点
    3
    ブランドコンセプトをしっかり打ち出したことにより、オンデーズは成長軌道を描き始める。そして周囲の人々に支えられ、黒字倒産の危機も乗り越えていく。

要約

絶対に倒産すると言われた会社

物語の始まり、あるいは地獄の始まり
Artur/gettyimages

主人公の「田中修治」(以下、田中)はもともとデザイン企画に関する小さな会社を経営していた。そんな田中が低価格メガネのチェーン店「オンデーズ」の買収を決意したのは、オンデーズの身売り案件に関わったからだった。当初はオンデーズ売却の仲介に入るだけの予定だったが、自分なりに再生計画を考えるうち、自分なら再生できるのではないかと考え始めた。たしかに会社の資金繰りは火の車だったが、現場ではいきいきと働いているスタッフも多い。経営者が変われば十分再生できるというのが田中の見立てだった。

これに反対したのが「奥野良孝」(以下、奥野)である。奥野はメガバンクに就職後、大手の再生ファンドを経て、投資コンサルティングの小さなベンチャー企業に転職した人物だ。なにせ当時のオンデーズは、20億の売上しかないのに14億の負債を抱えていた。財務の専門家として数々の企業再生案件に関わってきた奥野にとって、オンデーズを買うという決断が無謀に映ったのは当然の話である。

それでも田中の決意は変わらなかった。オンデーズを3000万で買収すると、奥野も巻き込んでオンデーズ再生に着手することになる。だがそれは地獄の始まりでもあった。田中たちはすぐに「毎年20億の価値を創り出す会社」が、わずか3000万で売られていた理由を知ることになる。

高すぎる授業料
itasun/gettyimages

筆頭株主となった田中は、オンデーズの代表取締役社長に就任した。だが30歳という若さで社長となった田中に対する社員たちの目は冷え切っており、しかもさっそく1千万の資金ショートが迫ってきている。初っ端からハードな銀行交渉をしつつ、経営回復のための施策を行なうことが求められた。

田中が思い描いていたのは、メガネ界のZARAになることだ。ZARAはもともと安さを武器に店舗を増やしていたが、あるときから方向転換し、値段を変えずに品質やファッション性を追求し始めた。その結果「低価格なのにお洒落で品質が良い」というイメージづくりに成功し、アパレル業界で世界一になった。

オンデーズもただメガネを安く売るのではなく、ファッション性を追求していけば、メガネ業界のリーディングカンパニーになれるというのが田中の見立てだった。「ダサいこのオンデーズをファストファッション アイウェアブランドにする」。お洒落になればスタッフも誇りを持って働けるようになるし、お店やスタッフが生まれ変われば、売上だってすぐに回復するという目論見だった。

だが現実は甘くなかった。最初から資金繰りに苦しみ、社員たちとは対立。思い切って立ち上げた新コンセプトの店舗も大失敗に終わった。幸い商品部の改革が順調に進んだため、すぐにショートすることはなかったものの、今度は新たに買収した雑貨販売のチェーン店「ファンファン」に足を引っ張られてしまう。というのも「同志」だったはずのファンファン前社長に、社内政治で裏切られてしまったのだ。

かろうじてファンファンの売却先を見つけ、なんとかオンデーズは救われたものの、高すぎる授業料を支払うことになった。

【必読ポイント!】 狼煙を上げる

全品半額という仕掛け

フランチャイズ事業が軌道に乗り、危機的状況から脱する道筋が少しずつ見えてきた。だが10億円前後の繰越損失と債務超過を抱えていたため、銀行からの融資はまったくあてにならなかった。もはや自分たちの産み出すキャッシュフローのみで、「成長」を実現しなければならない。

そうした状況のなか、田中が問題意識を抱いたのは「決定的な知名度不足」であった。

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