世界は贈与でできている
資本主義の「すきま」を埋める倫理学

未 読
世界は贈与でできている
ジャンル
著者
近内悠太
出版社
NewsPicksパブリッシング 出版社ページへ
定価
1,980円(税込)
出版日
2020年03月13日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
5.0
応用性
4.0
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資本主義の「すきま」を埋める倫理学
著者
近内悠太
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定価
1,980円(税込)
出版日
2020年03月13日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
5.0
応用性
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レビュー

2020年の春、世界は新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄され、国内でも外出自粛の要請が続いている。行きたいところに出かけ、会いたい人に会える生活が失われたことで、この社会を支えようと日々奮闘している人々の大切さを、誰もが実感していることだろう。もちろんそれは資本主義的な「労働の対価」によるところが大きいわけだが、それだけでは語り得ない献身も含まれているはずだ。

そうした献身や人のつながりが生じる理由は、資本主義というフレームではなかなか捉えにくい。たとえばもらったプレゼントに特別な価値を感じた経験は誰しもあるだろう。だがお金という尺度だけだと、その価値をうまく説明することは難しいのである。

「お金で買えないもの」をひとまず「贈与」と呼ぶとき、それは商品の売買のような「交換」とは大きく異なる性質を持つと著者は述べている。世界の誰もが「アフター・コロナ」の社会像を探している中、本書からは「贈与」という概念を通じ、現代社会の先を見通す重要な示唆が読み解けるのではないだろうか。

贈与は市場経済を否定するものではなく、むしろ市場経済を必要とするとされている。それがなぜなのかは、ぜひ本書を手にとって読み取ってほしい。私たちの価値観に揺さぶりをかけてくれる、貴重な一冊である。

ヨコヤマノボル

著者

近内悠太 (ちかうち ゆうた)
1985年神奈川県生まれ。教育者。哲学研究者。
慶應義塾大学理工学部数理学科卒業、日本大学大学院文学研究科修士課程修了。専門はウィトゲンシュタイン哲学。リベラルアーツを主軸にした統合型学習塾「知窓学舎」講師。教養と哲学を教育の現場から立ち上げ、学問分野を越境する「知のマッシュアップ」を実践している。
本書『世界は贈与でできている』がデビュー著作となる。

本書の要点

  • 要点
    1
    生きる意味や仕事のやりがい、大切な人とのつながりなど、とても大切なのにお金で買えないものは、他者から贈与してもらうことでしか手に入らない。
  • 要点
    2
    贈与は、贈与だと気づかれてはいけない。気づかれれば商品の売買のような「交換」になってしまう。
  • 要点
    3
    贈与は交換と違い、瞬時に完了しない。差出人にとっては「届いてくれるといいな」と未来形で、受取人にとっては「すでに受け取っていた」と過去形で完了するものだ。
  • 要点
    4
    贈与の差出人は、与えるだけの人ではない。他者へ贈与するという行為を通して、逆にさまざまなものを受け取っている。

要約

「お金で買えないもの」の正体

もらったプレゼントには、なぜ価値があるのか

本書では、信頼関係や助け合いのようにお金で買えないもの、およびその移動をひとまず「贈与」と呼ぶことにする。しかし「お金で買えないもの」という定義では、それらが何であるか一向に理解できない。お金で買えないものは、どうやって手に入れたらよいのか。どこから私たちのもとにやってくるのか。

贈与のいちばんわかりやすい例が、プレゼントである。なぜ互いにモノを贈り合うという慣習があるのだろうか。それは誰かからプレゼントされた瞬間、モノがただのモノではなくなり、商品の価値からはみだす「特別な何か」が付与されたと感じるからだ。だから私たちは他者から贈与されることでしか、本当に大切なものを手にすることができないのである。

贈与の中でしか生きていけない人類
Jolygon/gettyimages

なぜ私たち人間は他者と協力し合い、助け合うのか。どうして一人では生きていけなくなったのか。

それは人類が、きわめて未熟な状態で生まれてくることに端を発する。乳幼児を抱えた母親は、数年間にわたって食べ物を自分の力で採取することができず、子育てを周囲の人間に手伝ってもらわなければならなかった。つまり人類は黎明期から、「他者からの贈与」「他者への贈与」を前提として生きていくことを運命づけられてしまったのだ。

ギブ&テイクの限界点

ビジネスの文脈だと、相手に何かをしてほしかったら、対価を差し出すしかない。しかし「助けてあげる。で、あなたは私に何をしてくれるの?」というギブ&テイクの世界には、信頼関係が存在しない。そこでは、他者はあくまでも手段でしかない。裏を返せば、信頼は贈与の中からしか生じないのだ。

ギブ&テイク、つまり交換の論理が徹底された資本主義の世界では、死ぬその瞬間まで一瞬も休むことなく、商品を買い続けなくてはならない。たとえすべてを失った人であっても、「助けて」と叫ぶことができない世界だ。そんな誰にも頼ることができず、誰からも頼りにされない状態を、私たちはこれまで「自由」と呼んできたのである。

名乗らない贈与者、サンタクロース

贈与が「呪い」になるとき

ギブ&テイクの関係ではないつながりは、本質的に贈与的なつながりとなる。私たちは知らず知らずのうちに、贈与を通して他者とつながっている。しかし贈与の力は、自らと他者を縛りつける「呪い」ともなる。それは誰かとのつながりを求めながら、同時にそのつながりに疲れ果てるという相矛盾した状態だ。

なぜこんな状態が生まれるのか。「贈与は、それが贈与だと知られてはいけない」からである。贈与であると知られてしまえば、受取人には返礼する義務が生まれ、単なる交換になってしまう。もし受取人が何も交換するものを持っていなければ、返礼の義務は受取人を押しつぶす呪いとなるだけだ。

一方で、ずっと気づかれない贈与は、贈与として成立しない。贈与したそのときではなく、未来のある時点で「あれは贈与だった」と気づいてもらう必要がある。

16時の徘徊とサンタクロース
allanswart/gettyimages

ある男性が、認知症の母親を介護していた。その母親は16時になると外に徘徊に出かけようとし、止めようとしても必死の形相で抵抗する。

困り果てた男性がベテランの介護職員に相談したところ、16時というのは数十年前、彼が幼稚園のバスで帰ってくる時間だったことに気づいた。

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