文章力の基本の表紙

文章力の基本

簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック


本書の要点

  • 不用意に長く書かず、短く言い切ることで、頭を使わなくても分かる平易な文章となる。

  • 文章全体の明瞭性を高めるためには、骨子を組み立ててから、段落分けをするとよい。パラグラフ内の因果関係には特に注意する。

  • いきなり核心から入る。また削れる言葉は徹底的に削る。

  • 読み手からの「共感」を得るためには、目に浮かぶように書くこと、感動を押しつけず事実を淡々と描くことが効果的だ。

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短く書く

短く言い切る勇気を持つ

iStock/Thinkstock

不用意に、長く、長く書かないようにすること、それが明快な文章を書くために第一に留意すべき点である。思い切って句点(。)を打ち、話を1つひとつ言い切りながら、前に進めよう。最近の話し言葉は、「私は、そう考えていて……」「理由は2つあって、1つ目は……」というように、最後まで言い切らないことが流行のようだ。そういうときは、「私は、そう考えています」「理由は2つあります」と勇気をもって言い切ろう。日本人には、断定することをはばかる傾向がある。はっきり言い切ると、その言葉に責任を持たなければならないと恐れる心理もあるかもしれない。しかし、逃げ腰でいたら明快なコミュニケーションはできない。

幹を1本1本立てていく

文章には幹があり、そこに枝葉が付いている。枝葉ばかりが見えて、幹がなかなか見えてこない文章は、明快な文章とは言えない。5W1Hのうち、まずは「Who(誰)」と「What(何)」に絞って、述語との関係(どうしたのか)を明確に読者に示すべきなのだ。それが文章の幹だ。例えば、「私の目が悪くなったのは、父が大好きなテレビゲームのやり過ぎが原因だ」という文章は「私」と「父」の話が同時に語られているので読者は一瞬考えなければならない。「私の目が悪くなったのは、テレビゲームのやり過ぎが原因だ。父はもともとテレビゲームが大好きだ。それに私が影響された。」と書き換えるのが良いだろう。

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自然な正しい表現で書く

論理的に首尾一貫させる

「万引きを完璧になくすことは難しい。だからこそ、未然に防ぐことが必要になってくる。」論理的につじつまの合わないことを書くと、どこか心の片隅に違和感が漂う。そのようなときは妥協してしまわずに、立ち止まって違和感の元をたどろう。先の文章も「だからこそ」では論理的につながらない。「万引きを完璧になくすことは難しい。しかしなるべく未然に防ぐような手段を講ずることはできる。」と書き換えるべきだ。「論理」というと難しいと感じるかもしれない。長い文章の論理を紐解くには、修飾語を取り、主語と述語のみを取り出してみるとよい。その文章が適切な接続詞で結びつけられているか、意味が通るかを判断すればよい。

因果関係をつかむ

原因と結果が逆になっている文章に出会うことも、少なくない。原因を取り違えている場合もある。【原文】職場のモチベーションを高めるためには、達成感を味わう機会を増やし、成長しているという実感を抱かせることが重要である。そのためにはまず、仕事への意欲を回復させる必要がある。この文章の因果関係は(原因)達成感を味わう、成長を実感する→(結果)意欲が増す、モチベーションが高まる、であると考えられる。

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要約公開日 2013.10.31
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