すごい採用

─考え方を変えれば採用はうまくいく
未読
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出版社
技術評論社

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出版日
2022年10月26日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

求人広告のコピーライターをしていたことがある。圧倒的な数の母集団形成をできるのは、条件のよい会社だ。給与が高くてボーナスも破格、おまけに年間休日もたっぷり。採用ではそうした会社が有利に見える。ところが、条件が整っていなくとも、採用に成功する会社もある。ある地方都市の零細企業は、駅からは徒歩30分以上、給与水準も決して高くはなく、土曜出勤も時々ある。それでも、少ない候補者の中から理想の人材に出会い、無事に採用に至っていた。その秘訣はまさに、本書で取り上げている「リクルートメント・マーケティング」の手法だ。

本書の著者は、2014年にウォンテッドリー株式会社に入社した人事責任者である大谷昌継氏だ。採用から労務、人事制度などの人事全般に携わっている。前職と合わせると18年の人事経験を持つ、いわば「採用のプロ」だ。そんな著者が採用に苦戦し途方に暮れていた時期に取り入れたのが、求職者を「顧客」、企業を「商品」に見立てたリクルートメント・マーケティングだ。

SNS、オンラインミーティングが発達し、候補者が求人広告だけで応募を決めることはほとんどなくなった。言い換えれば、発信の工夫さえすれば、以前よりもはるかにリクルートメント・マーケティングが進めやすい状況が整っている。自社に魅力を感じてくれる人のところに情報を届けることができれば、少ない応募数でも採用成果が出せる時代になったのだ。「個人の幸せ」と「組織の未来」の対話から始まる、未来志向の採用を取り入れたいと思ったら、まずは本書をおすすめしたい。

著者

大谷昌継(おおたに あきつぐ)
1974年生まれ 東京都出身。東京大学経済学部経営学科卒業。
新卒でソフトバンク株式会社に入社後、2001年オイシックス株式会社に入社。物流責任者として基礎を作ったのち、2005年から人事を担当。2014年にウォンテッドリー株式会社に人事責任者として入社。二度の東証マザーズ上場を行い、現在採用から労務、人事制度など人事全般を業務としている。

本書の要点

  • 要点
    1
    求職者を「顧客」、企業を「商品」に見立てた採用方法を、「リクルートメント・マーケティング」と呼ぶ。今まで主流だった「大量一括採用」に代わる新しい採用手法として、注目を集めている。
  • 要点
    2
    仕事を選ぶ基準が、雇用条件から会社理念・企業課題・社風などへ変わりつつある。活躍してくれそうな人材へピンポイントにアプローチし、自社の魅力を伝えられるかどうかが採用成功のカギを握る。
  • 要点
    3
    採用手法の変化に合わせて、人事の業務領域も変わりつつある。採用コミュニケーション全体を指揮していく、新たな役割が求められている。

要約

【必読ポイント!】 採用をアップデートしよう

「数打ちゃ当たる」の時代は終わった

少子高齢化にともなって、生産年齢人口は1995年をピークにゆるやかに減少している。パーソル総合研究所は、2030年には7073万人の労働需要に対し、644万人もの人手不足が生じると推定している。

「企業が求職者を選んでいた時代」は終わりを告げ、「企業が求職者に選ばれる時代」が到来した。とにかく応募者数を増やせば確率論的に優秀な人材が採用できるはずだ——そんな「幻想」を手放すときが来た。なるべく多くの応募を集めてふるいにかける手法は、労働人口減少と相性が悪い。大量のエントリーが集まればミスマッチも増えるし、志望度の低い求職者のエントリー選別に膨大な手間がかかることにもなる。

これからは、求職者と企業とのマッチング精度を高めていく新しい採用手法が必要だ。本選考に進む前に相性を確かめ合う「ソフトな選考(ソフトセレクション)」が必要とされるのは出会いの確実性を上げるためだ。

条件よりも重要な「共感」
SDI Productions/gettyimages

デジタル化が進み、伝えたい情報を、伝えたい人にだけ届けることが可能になった。広告の分野では、テレビや街頭に広告を打って「数で勝負」していたものが、届けたい顧客のスマホにだけ広告を出す「マッチで勝負」の時代に変わりつつある。採用でも同じような方向の進化が見られる。

新しい採用手法は「マーケティング」とよく似ている。企業は商品であり、求職者は消費者だ。企業は、求職者から選ばれる立場へと変わりつつある。求職者が仕事を選ぶ際に、何を重視するのか。それは、就職活動時の景気に大きく左右される。最近では収入、出世といった条件よりも、「自分の望む仕事ができるかどうか」で企業が選ばれる傾向がある。

例えば、ビジネスSNS「Wantedly」では、会社理念、課題、職場のカルチャーを切り口として求職者の共感を誘い、気軽に話が聞ける「カジュアル面談」を通じて採用につなげてきた。結果的に、マッチング率や定着率の向上にも結びついている。

採用にマーケティングの発想を

労働人口の減少と求職者の意識の変化により、採用戦略の見直しは喫緊の課題となった。採用のスタートは「今」だ。自社にとって価値が高く、一緒に働きたいと思える人材は、そう多くはない。いい人材は引く手数多なのだから、今の職で活躍して転職する理由がないことが多く、何らかの事情で転職を始めてもすぐに次の職が決まってしまう。いい人材を採るためには、人材が公の採用市場に出てくる前に接点を持っておかねばならない。

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要約公開日 2023.01.27
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