新版 実践マニュアル 広報担当の仕事

すぐに役立つ100のテクニック
未読
新版 実践マニュアル 広報担当の仕事
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新版 実践マニュアル 広報担当の仕事
出版社
東洋経済新報社
出版日
2014年10月16日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
3.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

本書は、企業の広報担当者に向けた実践的な広報業務の解説書である。これまで行われてきた数々の業務をまとめたベストプラクティス集とも言える。「マニュアル」と銘打っているだけあって事例や実際のフォーマットが提示されており、具体的なイメージもしやすく、文章も平易で非常にわかりやすい。

広報は、決して単なる商品PRやクレーム対応の部署ではない。会社の社会的意義やブランディングを考え、意識的に経営戦略を方向づけていく重要な役目を担う。広報の力量によって会社のイメージやトップの印象がガラリと変わると言っても過言ではない。本書では主に大企業の中での広報を想定しているが、中小企業や個人経営の会社であっても、数々のアイテムを通して「会社がいかに見られているか」を意識できるという点で有用であろう。

本書は2004年の初版を改訂し、新たに「ソーシャルメディアと広報」という章が加えられた。あらゆる領域においてインターネットの活用が不可欠となり、関連する問題も山積してきている今日、「インターネットを活かした広報はどうしたら良いのだろう」と頭を悩ませる広報担当者にも良き指針となるだろう。広報は初めてという新人はもとより、広報歴ウン年というキャリアを積んだ担当者にとっても、あまたの業務を効率よく整理することができ、お勧めである。

著者

五十嵐寛
1969年埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。
1994年3月神奈川大学経営学部国際経営学科卒業(広報専攻)。
1994年4月(株)プラップジャパン入社。企業広報を中心にイベント企画・運営、商品広報、危機対応広報などを経験。
2001年1月ヒルアンドノウルトンジャパン(株)入社。企業広報のコンサルティングのほか、クライシス・コミュニケーションやメディア・トレーニングを担当。
2004年1月からフリーの広報コンサルタント、ライターとして独立。
2006年1月株式会社ハーバーコミュニケーションズを設立、代表取締役。

本書の要点

  • 要点
    1
    広報の主な役割は、社内外の様々な利害関係者とのコミュニケーションを図ることである。説明資料は「伝わらない」ことを前提に、わかりやすいものを用意しよう。
  • 要点
    2
    広報担当者の資質として、①事実を尊重する、②正しいことをする、③誠実であること、の3点を備えるよう意識すべきである。広報こそ「企業の最後の良心」であるという気概を持とう。
  • 要点
    3
    情報は、人・モノ・金と並ぶ重要な経営資源であることを、トップをはじめ全社員に理解してもらうよう努めよう。そのためには日ごろの心がけが大切だ。

要約

仕事を「見える化」して立ち止まらず進もう

広報の仕事を認識しよう

広報活動は、対外広報、社内広報、株主広報などいろいろあるが、「誰に対して」「何を」「はっきり伝えるか」ということを常に念頭に置いて行動する。情報を伝えたい対象と、それに応じたニュース(ターゲットが関心を持つ事実や情報)を把握することが基本である。

広報担当者にとって必要な要件は「事実を尊重する」「正しいことをする」「誠実である」の3つである。会社のイメージは広報の仕事いかんにかかっていると言っても過言ではない。会社がいくら法を順守して事業を正しく行っていても、道義的な責任を軽視したら社会から叩かれる。この責任を主体的に考えて行動するのも広報の役目だ。

「コムパケ」を作ろう
macgyverhh/iStock/Thinkstock

「何から手をつけたらよいのかわからない」という人は、各種の資料を集めたコミュニケーション・パッケージ(コムパケ)を作ることから始めよう。仕事も効率よく進むし、プロジェクトごとの再利用も可能で、物理的にファイリングされているから他の人も簡単に参照できる。コムパケはいくつかのアイテムに分かれており、社内用プロポーザル、プレスキット、想定問答集、自社のスポークスマンのプロフィール、イベント進行表、アンケート、報告書などから構成される。これらのアイテムをひとつずつ揃えていけば、それが対外広報を進めるプロセスとなる。

広報として発表したい事柄があったら、まずはそれにニュース性があるか確認しよう。誰に対してのネタかを明確にし、キーメッセージやそれを伝える戦術も練る。伝えるための企画書(プロポーザル)ができたら、いよいよプレス向けのリリースを書こう。リリースひとつにしても、書き方や配布にコツがある。5W1Hは必ず守り、その上で数字にできるものは具体的な値を入れる。読む側である記者に配慮した基本形を守り、埋もれないリリースを書こう。

個別インタビューを受ける場合や記者会見を開く際に使うプレスキットなどの資料は、平時から準備しておけるものは積極的に用意しておくとよい。企業トップのプロフィールやアンケートなど使いまわしをしているものでも、最低1年に1回は更新することを忘れずに。本書では、コムパケの具体的なつくり方と活用方法、および社内での作業に役立ついくつかのテクニックがサンプルとともに紹介されている。

「受け」の場合も「攻め」の場合も積極的に

triloks/iStock/Thinkstock
受けの広報と記者会見

メディア対応は、取材依頼などに対応する「受け」と、情報を積極的に売り込む「攻め」に大別できる。「受け」の広報の場合、最初の電話対応から相手の好印象をゲットすると進めやすい。確認フォーマットを使って相手(記者)が何を引き出そうとしているかを把握し、適切に対応できるように準備しよう。記者は当然、下調べをしている。取材の前提となるその情報が古いものや誤情報でないかを確認するとともに、取材を受ける前に知っておいて欲しい基本データなどがあったら積極的に提供しよう。その記者が最近書いた記事についても一言「読みましたよ」と言及しておくと、今後の関係構築にも貢献する。

記者会見を行う場合に気を付けることはいくつかある。

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要約公開日 2015.01.06
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