広報活動は、対外広報、社内広報、株主広報などいろいろあるが、「誰に対して」「何を」「はっきり伝えるか」ということを常に念頭に置いて行動する。情報を伝えたい対象と、それに応じたニュース(ターゲットが関心を持つ事実や情報)を把握することが基本である。
広報担当者にとって必要な要件は「事実を尊重する」「正しいことをする」「誠実である」の3つである。会社のイメージは広報の仕事いかんにかかっていると言っても過言ではない。会社がいくら法を順守して事業を正しく行っていても、道義的な責任を軽視したら社会から叩かれる。この責任を主体的に考えて行動するのも広報の役目だ。
「何から手をつけたらよいのかわからない」という人は、各種の資料を集めたコミュニケーション・パッケージ(コムパケ)を作ることから始めよう。仕事も効率よく進むし、プロジェクトごとの再利用も可能で、物理的にファイリングされているから他の人も簡単に参照できる。コムパケはいくつかのアイテムに分かれており、社内用プロポーザル、プレスキット、想定問答集、自社のスポークスマンのプロフィール、イベント進行表、アンケート、報告書などから構成される。これらのアイテムをひとつずつ揃えていけば、それが対外広報を進めるプロセスとなる。
広報として発表したい事柄があったら、まずはそれにニュース性があるか確認しよう。誰に対してのネタかを明確にし、キーメッセージやそれを伝える戦術も練る。伝えるための企画書(プロポーザル)ができたら、いよいよプレス向けのリリースを書こう。リリースひとつにしても、書き方や配布にコツがある。5W1Hは必ず守り、その上で数字にできるものは具体的な値を入れる。読む側である記者に配慮した基本形を守り、埋もれないリリースを書こう。
個別インタビューを受ける場合や記者会見を開く際に使うプレスキットなどの資料は、平時から準備しておけるものは積極的に用意しておくとよい。企業トップのプロフィールやアンケートなど使いまわしをしているものでも、最低1年に1回は更新することを忘れずに。本書では、コムパケの具体的なつくり方と活用方法、および社内での作業に役立ついくつかのテクニックがサンプルとともに紹介されている。
メディア対応は、取材依頼などに対応する「受け」と、情報を積極的に売り込む「攻め」に大別できる。「受け」の広報の場合、最初の電話対応から相手の好印象をゲットすると進めやすい。確認フォーマットを使って相手(記者)が何を引き出そうとしているかを把握し、適切に対応できるように準備しよう。記者は当然、下調べをしている。取材の前提となるその情報が古いものや誤情報でないかを確認するとともに、取材を受ける前に知っておいて欲しい基本データなどがあったら積極的に提供しよう。その記者が最近書いた記事についても一言「読みましたよ」と言及しておくと、今後の関係構築にも貢献する。
記者会見を行う場合に気を付けることはいくつかある。
3,000冊以上の要約が楽しめる