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キッズアプローチ

子ども主体の保育 ~生きる力・非認知能力を育てる


本書の要点

  • 「子ども主体の保育」では、問題行動をする子どもであっても、言動や行動を否定せず、常に肯定的な言葉がけや関わり方をしていくことがもっとも基本的な姿勢である。

  • 子ども同士のトラブルは、子どもにとって課題解決能力を養う機会となる。保育者や保護者に必要なのは、子どもが自分たちで解決の道を見つけられるよう、「待つ」姿勢である。

  • 「主体性」は子どもを大人の価値観に従わせようとすることで失われてしまう。大人は子どもの「したい」を大切にし、見守ることが重要である。

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教育者となるまで

政治家志望から教育者へ

著者が乳幼児教育の道を歩むことを決めたのは、大学3年生の時だった。社会をよりよく変えたいという思いが強く、政治家を目指していたが、大学3年の時に出会った教育学の教授に「社会を変えていけるのは『教育者』として自分と同じ思いを持つ人を育てることだ」と聞かされ共感する。

乳幼児教育分野へ興味が絞られたきっかけは、教育実習体験だった。実習先の高校で、高校生はすでに人としての基本的姿勢が出来上がっていると実感した。そこで、基本を身につける幼少期の教育への関心が強まった。幼稚園を経営していた父の影響も大きかったという。

著者は大学卒業後に幼稚園免許を取得するため、昼は父が経営する幼稚園で働き、夜は近くの短期大学の幼児保育科に通っていた。しかし、保育の現場を知るほどに、父の行う「一斉保育」と自分の理想とする保育が乖離していると、身をもって感じた。

一斉保育は、保育者がねらいを持って指導案を設定し、それに基づいて保育を行う。先生から課題を与えられて取り組む子どもたちの中には、楽しそうではない、やりたくないという表情をする子もいたという。

著者自身、興味・関心がないことには全くやる気が起きない人間であったことから、一人ひとりの個性や特技を伸ばせる保育がしたいと考えるようになった。

保育の神様との出会い

vm/gettyimages

ある日、父の知人の幼稚園園長に胸の内を告白したところ、著者がやりたいことを実践している先生として、堀合文子先生を紹介される。堀合先生は、「日本のフレーベル」と呼ばれる倉橋惣三先生の弟子であり、「保育の神様」と呼ばれる人物だ。

著者は堀合先生に会うため十文字女子大附属幼稚園を訪れた。そこで保育への熱い思いと保育実習をしたい旨を伝えると、快諾された。

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要約公開日 2022.03.19
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